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私は貝になりたい

映像作家の岡本愛彦さん死去

 テレビドラマ「私は貝になりたい」の演出などで知られる映像作家でジャーナリストの岡本愛彦(おかもと・よしひこ)さんが、10月24日に前立腺がんのため、神戸市内の病院で死去していたことが明らかになった。79歳だった。
 陸軍航空士官学校で終戦を迎え、慶応大を卒業後、NHKに入った。記者を経てテレビドラマを担当。57年にラジオ東京テレビ(現TBS)に移り、C級戦犯に問われた庶民の悲劇を描いた「私は貝になりたい」(58年)、企業倒産を題材にした「いろはにほへと」(59年)を演出し、2年連続で芸術祭賞を受賞。テレビドラマを社会的、文化的に認知させた。63年にフリーとなり、日韓関係の暗部を告発する記録映画などを発表した。著書に「テレビよ、驕(おご)るなかれ」など。明星大や大阪経済法科大の教授もつとめた。
http://www.asahi.com/obituaries/update/1111/001.html

昨日(11月10日)テレビ東京でクリント・イーストウッド主演の西部劇『奴らを高く吊るせ!』をやっていた。
その中で、悪党たちがこれから絞首刑に処せられようという時に、処刑台の前に集まった住民が、聖職者とともに聖書の一節を読んだり賛美歌を歌ったり祈りを捧げたりするシーンがある。
何とも偽善的でいやらしく、オレなぞは大いに違和感を覚えた。

第二次大戦の日本人C級戦犯に対しても極刑は絞首刑(デス・バイ・ハンギング)で、『私は貝になりたい』の主人公もいわゆる十三階段を上ったわけだが、これがどう考えても体のいい復讐としか思えないのだ。
主人公の床屋の大将が「上官の命令は絶対なんだよ、分んねぇかなー」と訴えるが裁判官は頑として諾き入れない。アメリカ兵を殺した以上、ハナから無罪などありえないということだろう。

米軍は今般のファルージャ制圧をベトナム以来の大規模作戦といいながら、11月9日現在、死亡者が米兵10人、イラク兵2人などと発表している。この“イラク兵”とは米軍側のイラク兵のことだ。
では彼らは彼らの敵をどれくらい殺しているのか、少なくとも米軍側から“正確な数”が発表されることは今後とも無いだろうと考えられる。
とくに今回は、死者数や負傷者数をアナウンスしてきた病院を押さえてまで、情報統制をしているのだ。病院関係者は貝のように固く口をつぐんで真実を葬り去ることに協力するしかあるまい。

圧倒的な武力を誇る米軍兵士たちは、今ごろはスリリングな猛獣狩り・人間狩りを楽しんでいることだろう。実際、ついさっきテレビでやっていたニュース映像の中で米兵は「アドレナリンが出まくりだ」「楽しい」と答えている。
“9・11”がそれを彼らに許す免罪符となってしまっていることに、アメリカ人の“業”というか、彼ら式に云えば“原罪”の深刻さが表れているように感じるが、どうだろうか。

ところで『私は貝になりたい』が初放映されたとき、わが家にはまだテレビは無かった。

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