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八千八声の時無鳥

<河内家菊水丸さん>著作権者の確認訴訟が和解

 河内音頭をベースにした作詞作曲を行う河内家菊水丸さんが、自ら創作した曲を、鉄炮節河内音頭で知られる故・鉄砲光三郎さんの作曲として日本音楽著作権協会(JASRAC)に登録、無断でCD販売したとして、レコード販売会社「テイチクエンタテインメント」(東京都)などに、著作権者としての確認などを求めた訴訟が5日、大阪地裁で和解した。
 和解内容は、問題となった「明石家さんま物語」など4曲のうち、(1)「明石家さんま物語」は鉄砲さん、「河内音頭で夜をぶっとばせ」は菊水丸さんをそれぞれ著作権者とする(2)残る2曲は鉄砲さんと菊水丸さんをともに著作権者とする(3)流通したCDは回収せず、新たな複製販売はしない――など。
 和解後に会見した菊水丸さんは「和解内容には納得している。いつか裁判所の前で御礼音頭を披露したい」と話した。テイチク側は「裁判所の配慮もあり、友好的解決がなされたと考えている」とコメントした。
 菊水丸さんは昨年8月、テイチク側がこの4曲を鉄砲さんの作曲としてJASRACに登録、02年10月に4曲収録したCDを無断で発売したとして提訴した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041006-00000008-mai-soci

いくら鉃砲節といっても鉃砲光三郎ひとりで河内音頭を作ったわけではありません。それにこれまでも多くの歌手が河内音頭のレコードを出してきました。菊水丸だけを狙い撃ちにするんじゃ会社が個人をイジメてると見られても仕方ないですね。言ってみれば念仏や題目を商標登録するようなもので、世間の良識からもハズれております。
(ちなみに鉄砲の鉄は「鉄」ではなく「失」が「矢」になっている「鉃」が正しい表記です。)

私が所有している鉃砲光三郎のレコードは以下の3枚だけです(3枚ともLP)。
『《河内音頭》民謡鉃砲節《第一集》』
『《河内音頭》民謡鉃砲節《第二集》』
『《河内音頭》民謡鉃砲節《第四集》』

LP「《河内音頭》民謡鉃砲節《第一集》」鉃砲光三郎LP「《河内音頭》民謡鉃砲節《第二集》」鉃砲光三郎LP「《河内音頭》民謡鉃砲節《第四集》」鉃砲光三郎

今東光が第一集ジャケット裏に『鉃砲光三郎賛』を寄せており、河内音頭の歴史を縷々開陳しております。その一文が図らずも河内音頭が鉃砲光三郎の発明でないことを“裏書”しちゃってますヨ。ジャケットにもレコード盤にも作詞・作曲・編曲者の名はありません。作者不詳の民謡ですから当然です。

鉃砲さん以外の河内音頭のレコードは手持ちのものでは以下の2枚です。

シングル「青春河内音頭 c/w 津軽じょんがら節」金沢明子『青春河内音頭 c/w 津軽じょんがら節』金沢明子 ビクター音産 1979年発売。
A・B面それぞれ、作曲者に相当するクレジットは『大阪府民謡』『青森県民謡』。
『青春河内音頭』は、1番で、おなじみの♪エーさては・・・歌いましょう♪までの歌詞とヨイトコサーサノヨイヤサッサの囃子言葉を使い、2番がオリジナルの歌詞。作詞者表示は林 紀彦。


シングル「明石家さんま物語 c/w 河内音頭でぶっとばせ」河内家菊水丸『明石家さんま物語 c/w 河内音頭でぶっとばせ』河内家菊水丸 テイチク
A・B面ともに作曲者のクレジットなし。
作詞者表示は
『明石家さんま物語』が佐原一哉、河内家菊水丸、
『河内音頭でぶっとばせ』は安東 夏
となってます。

河内音頭はそれを歌い継いできた大勢の歌い手すべてが作者であり、ありえるのは改作・編曲のみです。かかる音楽を称して民俗音楽と申します。
テイチクは河内音頭のかつてのスター鉃砲光三郎が自社の所属であったことをこれ幸いに、河内音頭を独占するつもりだったのでしょう。まったく呆れたものです。

¶postscript―*
河内音頭の掛け声を取り入れた関ジャニ8『浪花いろは節』の全国発売は9月22日。なんとこれがテイチクからの発売です。
なるほどそういうことだったのか・・・。
(2004年10月12日)

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